主体的なキャリアを作る人の習慣 (3)
(スキル開発行動)


 星和HRインフォメーションでは、「変化の時代のキャリア自律」について慶應義塾大学SFC研究所 上席所員の高橋俊介氏にインタビューを行いました。
ここでは、そのインタビューの中で特に興味深かった大規模調査から見えてきた「主体的にキャリアを作ってきた人とその習慣」をメルマガ用に編集しお届けいたします。

 最終回となる今回のテーマは、「スキル開発行動」です。



 「スキル開発行動」と聞いた皆さんは、将来に向けた新しい技術や知識を身につける行動だということがすぐにイメージできたのではないですか。
ただ、ここでは、誰かに言われて学ぶことを「スキル開発行動」とは言いません。
あくまで主体的な学びについてそう呼んでいます。

 いまの時代、研修やセミナーなど個人で学ぶ機会はたくさんありますが、残念なことに日本では社会人になってからも時間を調整し、自身のお金で学ぼうとする人は多くありません。
しかし、世界に目を向けてみると、社会人が自身のスキルアップのために時間とお金を使って学ぶ(自己投資する)ことは一般的なことなのです。
競争社会の中で振り落とされないように自身のスキルを磨くわけです。

 周囲の仲間と同じだからとか、ほかの人も学んでいないから、なんてことに安心をしていると日本自体が世界から取り残され、孤立してしまうかもしれません。
ましてや、変化が大きな時代、個々の社員にキャリア自律が求められるいまならなおさらのことです。

 前回のメルマガの中では、キャリアを膨らませていく基本的な考え方として、主体的にジョブストレッチ・ジョブクラフティングを行い、リフレーミングしながら主体的に学びを連鎖させることが大切だとお伝えしました。
このキャリアを膨らませようとする内的動機(Why)を得ることで、次に何を学ぶのか(What)を感じ取り、そして、どのように学ぶか(How)へとつながるわけです。
何か動機を得てそのことを具現化するために主体的な学びが発生する・・・この連鎖的な流れの(WhatとHow)の部分を「スキル開発行動」と呼んでいるわけです。

 いま、取り組んでいる仕事の見方を少し変えることで、素晴らしいキャリアを作り上げるチャンスを得ることができるかもしれません。

 ここまで三回にわたって「主体的ジョブデザイン行動」「ネットワーキング行動」「スキル開発行動」についてお話ししてきましたが、8月4日の公開セミナーでも、「自分らしいキャリア」=「主体的キャリア」の形成とこれら三つの習慣(行動)が有機的に関係し合っていることについてもお話ししました。

【筆者プロフィール】
高橋俊介(たかはし・しゅんすけ)
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

1978年東京大学工学部航空工学科を卒業し日本国有鉄道に入社。
1984年米国プリンストン大学工学部修士課程を終了し、マッキンゼーアンドカンパニ-東京事務所に入社。
1989年世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国のワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ウイリスタワーズワトソン)に入社。
1993年に同社代表取締役社長に就任。
1997年7月社長を退任、個人事務所ピープル ファクター コンサルティングを通じて、コンサルティング活動や講演活動、人材育成支援などを行う。
2000年5月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。
個人事務所による活動に加えて、藤沢キャンパスのキャリアリソースラボラトリーを拠点とした個人主導のキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事。
2011年11月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。
2022年4月より現職。

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