キャリア自律アンケ―ト調査から見えてきた「押すべきボタン」とは




 定年後研究所では、去る8月「中高年会社員のキャリア自律」をテーマに、大規模なアンケ―ト調査を実施しました。
 これまでも、「キャリア自律」に関する様々な調査が実施されてきました。
しかし、今般の調査のように「大企業の中高年会社員」を対象とした大規模なアンケート調査は過去に例が少なく、興味深い結果を得ることができました。
本号では、そのポイントを紹介したいと思います。

<アンケート調査の概要>

【対象】
・大都市圏在住の「従業員1,000名以上」企業に勤務の正社員(60代は嘱託など含む)
・22~69歳 男女合計1,283名 インターネット調査(インテージリサーチ社のモニターより抽出)

【実施時期】
・2022年8月2~5日

(1)キャリア自律意識の高い社員と低い社員の分布は
 調査は、1,283名を対象に「主体的な学びの姿勢」「将来のキャリア展望」の2方向から、「キャリアの自律度」の定義付けを行いました。

 算出された「キャリアの自律度」によって対象者を、「トップ層」「中間層」「ボトム層」に区分。
 その結果、「トップ層」24.7%、「中間層」44.5%、「ボトム層」30.8%のように分布していることがわかりました。
(※キャリア自律度の算出、区分は定年後研究所による)

大都市圏・大企業勤務のビジネスパーソンの「キャリア自律度」


 これらをキーとして「仕事への意識」「自らの付加価値への自信」「会社への期待」「学び直し行動」「チャレンジ意欲」などとの相関関係を浮き彫りにしました。

(2)「今の仕事のやりがい」「職場での役割意識」と「キャリア自律度」には高い相関
  「今の仕事のやりがい」「職場での役割意識」や「周囲からの信頼実感」と「キャリア自律度」には高い相関関係が見られました。
日常の職場での仕事充実感の積み重ねが、学びの姿勢や、将来のキャリア展望に大きく影響することがうかがえます。

(3)「自分の付加価値」認識とキャリア自律度も高い相関
  調査では、「自分の付加価値」を、「人的資本(スキル)」「社会資本(社内外のネットワーク)」「心理的資本(好奇心やレジリエンス)」の3つに定義し、各項目への自信度とキャリア自律度の相関を分析しました。
その結果、いずれの資本も「キャリア自律度」と大変高い相関が見られ、主体的な学びの積み重ねが、「自分の付加価値」への肯定感に繋がっていることがわかりました。

紙面の関係で、全てを紹介できませんが、要約すると、

・明確な役割付与や、周囲への貢献が、仕事のやりがいや、自らの付加価値への自信醸成に繋がり、新しいチャレンジ意欲を促進する。

・その一連のプロセスの原動力が、「主体的な学びの姿勢」と「将来のキャリア展望」の掛け算である「キャリア自律」と言えるのではないか。

・この一連のプロセスや原動力は、加齢によっても減退しないので、中高年会社員にも、やりがいある仕事や成長機会の提供など、一人一人への丁寧な関わりが「押すべきボタン」と考えられる。

 これらの調査に関する詳細は、11月下旬に発行が予定されている「定年後研究所 調査研究報告書 Vol.3」をご参照いただければと思います。
当報告書には、「キャリア自律に向けた大企業の具体的な取り組み事例」も記載しております。
また、当内容は、11月11日の日本の人事部主催の「HRカンファレンス~2022秋」でも解説致します。

 当日は、当アンケート調査結果を踏まえて、損害保険ジャパン様での「キャリア自律」の取り組み事例を、同社人事部の立花一元氏にご紹介をいただく予定です。

一般社団法人定年後研究所 所長 池口 武志

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