主体的なキャリアを作る人の習慣(1)
(主体的ジョブデザイン行動)


  星和HRインフォメーションでは、「変化の時代のキャリア自律」について慶應義塾大学SFC研究所 上席所員の高橋俊介氏にインタビューを行いました。
ここでは、そのインタビューの中で特に興味深かった大規模調査から見えてきた「主体的にキャリアを作ってきた人とその習慣」をメルマガ用に編集し三回にわけてお届けいたします。

 初回となる今回のテーマは、「主体的ジョブデザイン行動」です。



 インタビューの中で、キャリアは「目標」が作るのではなく、日頃の「習慣」が作るとお伝えしました。

 それでは、「自分らしいキャリアを歩んできた」そして、「これまでのキャリアを自分で切り開いてきた」と感じているような主体的にキャリアを作ってきた人の「習慣」とはどのようなものなのか。
 
 大手企業14社に協力をいただき、約2500人を対象として実施した大規模調査から判明した主体的にキャリアを作ってきた人と最も相関が強い習慣(行動)とは、「主体的ジョブデザイン行動」だったわけです。

 この「主体的ジョブデザイン行動」を簡単に言えば、自分らしいキャリアを作る人は、仕事を自分らしくしている人ということになります。
日頃の仕事のすすめ方が自分らしい人ほど、結果的に自分らしいキャリアに結びついているということです。

 もう少し具体的に言えば、
 ・自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる
 ・社会や仕事に対して自分なりの見解(仮説・持論)を持っている
 ・自分の得意領域で仕事をする
 ・仕事は踏襲するだけではなく、自分で工夫をしながらすすめる

 ・積極的に周囲を巻き込みながら仕事をすすめる

 このような習慣(行動)を「主体的ジョブデザイン行動」と呼び、主体的にキャリアを作ってきた人との相関が非常に強かったのです。

 ただし、同時に「あなたは、いま会社を辞めて社外で通用すると思いますか」という問いともかなり高い相関がみられました。
このことから、「主体的ジョブデザイン行動」は「社外通用感」を増やすとも考えられるわけです。

 次号では、二番目に相関が強かった「ネットワーキング行動」についてお話しします。

*8月4日(木)開催の星和Career Next 2022 に高橋俊介氏のご登壇が決まりました。
セミナーのお申し込みサイト内にある登壇者インタビューでは、このメールマガジンでお伝えしている内容の前段部分についてご紹介しています。併せてご覧ください。



高橋氏インタビュー記事とセミナー申込はこちら

【筆者プロフィール】
高橋俊介(たかはし・しゅんすけ)
慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

1978年東京大学工学部航空工学科を卒業し日本国有鉄道に入社。
1984年米国プリンストン大学工学部修士課程を終了し、マッキンゼーアンドカンパニ-東京事務所に入社。
1989年世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国のワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ウイリスタワーズワトソン)に入社。
1993年に同社代表取締役社長に就任。
1997年7月社長を退任、個人事務所ピープル ファクター コンサルティングを通じて、コンサルティング活動や講演活動、人材育成支援などを行う。
2000年5月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。
個人事務所による活動に加えて、藤沢キャンパスのキャリアリソースラボラトリーを拠点とした個人主導のキャリア開発や組織の人材育成についての研究に従事。
2011年11月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授。
2022年4月より現職。

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