第3回 「メンタルのマネジメントはできているか?」
来たる1月19日、本年度5度目の開催となる「星和Career Next」では、行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏をお招きし、中高年社員のキャリア自律において最大のポイントともいえる「行動」についてお話をいただきます。 |
キャリア自律 最大のポイントは「行動」 ■日 程:2023年1月19日(木) 13:30~15:20 ■開催方式:オンラインライブ配信(Zoom) ■講 師: 第1部 石田 淳 行動科学マネジメント研究所所長 第2部 古畑克明 (株)星和ビジネスリンク セカンドキャリア支援事業部門ディレクター ■定 員:300名 ■主 催:株式会社星和ビジネスリンク(東京都港区芝4-1-23 三田NNビル4F) |
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星和HRインフォメーション(メールマガジン)では、昨年12月14日から4回にわたって行動科学マネジメント研究所所長 石田淳氏のお話をうかがっています。3回目となる今回は、前回(12月21日)の「身体の健康」と同様に重要な「心の健康」維持の習慣化についてお話しいただきます。ストレスを感じたとき、わずかな時間で心を整えて集中力を回復する方法を教えていただきます。 |
◎50代のうつに注意する
昭和から平成へと時代が移ったころから、「うつ」が急激に増えています。
今、私の周りの企業でも、社員のうつは大きな問題となっていて、社員へのストレスマネジメントに注力する企業も多くなってきました。
ビジネスパーソンの「うつ」といえば、一般的には若手社員が仕事のストレスから陥ってしまうものというイメージが強いのではないでしょうか。「今の若い人たちはストレス耐性が弱い」などということも言われますし、うつで休職や退職をする人に若い人が多いということもあるでしょう。
では、40代、50代の中高年がうつにならないかといえば、もちろんそんなことはありません。日々の生活のなかにストレスの材料がある以上、うつになる危険性はどの世代にもあります。
若い人のうつは、気分がふさぎ込むなどの症状が多いのですが、中高年のうつは、頭が痛い、体がだるい、肩が凝る……といった身体的な症状が増えるそうです。だから、自分がうつだという自覚がなく、身体的な症状へのケアばかりに注力しているうちにうつが進行してしまうということもあるわけです。
50代といえば、組織のなかで責任のある立場として働かなければならず、上からも下からも期待される。その期待に応えなければならないというプレッシャーは、相当大きなものでしょう。それに加えて、50代には、リストラの不安、身体の不調、親の介護、自身の老後など……考え込み、ストレスとなるような〝テーマ〟は多々あります。「子供が独立して夫婦二人暮らしになった」「配置換えで新たな職場で働くことになった」「早期退職で別の仕事をするようになった」などの環境の変化もうつのきっかけになることが多いといいます。
人生100年時代、長く健康寿命を保って働き続けるためには、体のケアのみならず、メンタルのケアも心掛けなければなりませんね。
◎「認知のゆがみ」があなたを不安に陥れる
しかしながら、何かに対して不安を感じたり、ネガティブな気持ちになってしまうことは、それもまた人間の自然な姿といえます。
「もっと物事をポジティブに捉えなければ」「落ち込んでなんていられない」などと思ったところで、あるいは人からそう言われたところで、自分の気持ちは簡単に修正できるものではありません。
私たち人間は、絶えず余計な「自動思考(マインドトーク)」を繰り返しています。
意識しなくても頭の中で大量の言葉が降り注がれ、その数は1日のうちに7万語ともいわれています。そして、そのほとんどがネガティブな内容であるといわれています。
「この仕事、失敗だろ」「間に合わない」「老後のお金は足りないのでは」などなど、ネガティブな言葉が次々と湧きだし、まだ起きてもいないことまでも悩まなければならなくなるのです。
こうして私たちは、どんどんストレスを蓄積していきます。
繰り返しますが、〝まだ起きてもいないこと〟によってです。
ネガティブなマインドトークによって生み出されるこうした誇張的で非合理的な思考パターンを、心理学では「認知のゆがみ」といいます。要するに「ネガティブな〝思い込み〟のようなものです。
たとえば、会社で部下に声をかけたけれど、相手の反応が鈍かった。
そこで勝手に「あ、自分はあまり好かれてはいないんだな」「この間叱ったことを恨んでいるんじゃないか?」などと、勝手に思い込んでしまうのです。
実際には、相手が他の仕事で忙しくてこちらの声に気づかなかっただけだとしてもです。
「老後資金では苦労するに決まっている」「夫婦仲だって悪くなるだろう」「いずれは病気で入院ということになるな」など、この先の人生についても、「認知のゆがみ」は出てくることでしょう。
ここで知っておいていただきたいのは、私たちのメンタルは、認知のゆがみ=思い込みによって支配されているということです。
◎「マインドフルネス」を習慣に
行動科学マネジメントが認知のゆがみに引きずられないための対処法としておすすめするのが、「マインドフルネス」という手法を日常の生活に取り入れることです。
マインドフルネスとはごく簡単にいえば〝今、この瞬間〟に意識を向けるということです。過去の出来事に対して「あんなことをしてしまった」これから起こる未来の出来事に対して「こうなったらどうしよう」……そんな不安を〝今、この瞬間〟だけに集中することで払拭するというものです。
では、どうすれば〝今、この瞬間〟だけに意識を向けられるか? その手法は意外と簡単なものです。何か不安を感じるようなことがあったときに、自分の「呼吸」を整えるのです。ゆっくりと呼吸をして、「1、2、3……」と、呼吸数を数えます。今、呼吸をしている、それが今の自分です。呼吸の数を30くらいまで数えるだけで、かなり気分は落ち着いてくるはずです。
マインドフルネスに関しては様々な書籍が出ているので、ぜひとも参考にしていただきたいと思います。これから先の長い人生を少しでもストレスなく過ごしていくために、ぜひマインドフルネスを習慣としてみてください。「ネガティブになるのはやめよう!」と意志の力で不安を払拭するのではなく、行動=習慣の力を使いましょう。
【筆者略歴】 石田 淳(いしだ・じゅん) 行動科学マネジメント研究所所長 米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジ。 【著書】
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