企業が求める理想のシニア社員とは? その必要要件とは?

 今般、定年後研究所では、2021年4月「改正高年齢者雇用安定法(以下「改正法」と記述)」施行を機に、中高年社員の活躍推進に向けた人事担当者の生の声を収集するとともに、60代以降も活躍を続けている現役シニア社員へのインタビュー調査を行い、「調査結果報告書(70歳現役時代に向けた企業と個人の確かな足音)」を発行いたしました。 

 今回の報告書は、定量分析やアンケ-ト調査ではなく、企業人事担当者並びに現役シニア社員のキャリア意識や就業動機等、生の声を掲載したもので、企業内で多くの60代社員と向き合う未踏の時代に向け、企業や社会として必要な支援方策を探る内容としております。

 本号「定年後研究所News LetterVol.4」では、上記報告書から企業人事担当者より寄せられた「シニア社員の理想像」に関する内容(報告書本文P28~30)について、抜すいして紹介いたします。

企業人事が考える「シニア社員の理想像」
 今回の企業ヒアリングにおいて、企業人事の担当者に「理想的なシニア社員とは?」という質問をさせていただいた結果、以下のような理想像が浮き彫りになりました。


1.「受け身ではなく、キャリアを自分で考え、自分で選ぶ姿勢を身に付けているシニア社員」
2.「中高年ならではの強みを駆使した貢献ができるシニア社員
   (例えば、第一線で働く高い次元のプレーヤーとして、成功・失敗双方の経験や、中長期的な信頼関係を築いた取引先や顧客との人脈を活かす社員)」
3.「相談しやすい先輩としてのメンター機能や、企業DNAや個社固有技術の後進への伝承ができるシニア社員」
4.「会社全体を見渡せる視野や人脈を活かして、部門と部門を繋ぐことができるシニア社員」


現実化するための必要要件とは?
 企業において実際に、理想的なシニア社員が数多く活躍する形にしていくためには、人事管理の土台となる仕組みを「年齢軸」から「能力軸」へ移行していくこと、(そのために必要となる)自律的な能力開発の機会を設けることの重要性について、数多くご指摘いただきました。
対象層の意識改革やモチベーション向上に向けたキャリア研修・キャリア面談の充実を図り、一人ひとりと向き合うことで職場でのコミュニケーションが活発となり、周囲からのシニア社員への評価が高まる好循環を生む事例等もお寄せいただいています。
また、「適材適所から適所適材への移行」の必要性も数多くお伝えいただいており、自社にフィットする「JOB型」の人事運営を模索する中で、キャリア自律を志向する動きも出てきています。

企業サポートのあり方について
 ヒアリングを通じ、シニア社員を上手く戦力化されている企業は、「多様性(ダイバーシティ・インクルージョン)」を尊び、多様性を企業戦略の一つの要として捉えていると感じました。
「多様な人材活用」をリスク事象への備えや新たなアイデア創出として重要視する企業は確実に増えており、女性・障がい者のみならず、シニア社員も企業戦略の中に包摂する姿勢が伺えます。
「中高年社員の活性化」という大きな課題に即効薬は存在しないだけに、自社の企業風土、従業員の仕事への価値観なども十分踏まえたうえで、ハード面(制度構築)だけでなく、意識・行動の変容といったソフト面に向けても、自社に相応しい取り組みを追求することが重要ではないでしょうか。

今回ご紹介した「調査結果報告書」をご要望される場合は、定年後研究所ホームペ-ジをご覧いただき、「お問い合わせ」欄に「報告書希望」とご入力いただければ対応させていただきます。

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